終活に欠かせない相続についての基本②相続の分配について


昨今、よく耳にする【終活】。
この中には、生前に身の回りの物を整理したり、葬儀の手配をしたり、お墓の準備をしたり・・・といったものから、専門家に相談してきちんと手順を踏まないと、準備したつもりが無効になってしまったり、残された遺族の手続きが困難になってしまう遺言や相続の準備も含まれます。そこで、行政書士としてお手伝いできる遺言や相続のお話しもこちらのブログでわかりやすくご紹介できればと思っています。前回の【①相続と相続人について】に引き続き、今日は相続の分配についてご紹介します。

相続とは?

人が死亡したとき、その人がもっていた権利や義務を、他の人が引き継ぐこと。これを相続といいます。その他、死亡以外にも失踪宣告があったときも相続の原因となります。

このとき、権利や義務を残して死亡した人を被相続人引き継ぐ人を相続人(実際に相続が開始されるまでは「推定相続人」)、引き継がれる権利や義務を相続財産(遺産)といいます。

誰が、どのくらい手にするの?法定相続分

相続人が1人しかいないとき(単独相続)は、相続財産はすべてその相続人に引き継がれますが、相続人が複数いるとき(共同相続)は、相続財産は、原則として、民法が定める一定の割合で各相続人(共同相続人)に引き継がれます。民法が定めるこの割合を、法定相続分といいます。法定相続分は、いわば、民法が定める各相続人の“取り分”です。

前述のように、民法で相続人として定められているのは、配偶者、子(第1順位)、直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)ですが、各相続人の法定相続分は、誰が相続人となるかによって異なります。

法定相続分

相続人 配偶者の相続分 配偶者以外の相続人の相続分
配偶者と子 2分の1 2分の1
配偶者と直系尊属 3分の2 直系尊属 3分の1
配偶者と兄弟姉妹 4分の3 兄弟姉妹 4分の1

同順位の相続人が複数いる場合(たとえば、被相続人の子が複数いる場合)、これらの相続人の法定相続分は、原則として平等です。ただし、次の場合には、同順位の相続人であっても、法定相続分が異なります。

兄弟姉妹が相続人となる場合において、兄弟姉妹のなかに、被相続人と父母の双方を同じくする兄弟姉妹と、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(父親違い、母親違いの兄弟姉妹)がいる場合

 

父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1

 以前は、上記の他に子が相続人となる場合において、子のなかに、嫡出である子(嫡出子)と嫡出でない子(非嫡出子)がいる場合、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1となっておりましたが、平成25年12月5日、民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。

非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。

特別受益者がいる場合の相続分

共同相続人のなかには、被相続人(亡くなった方)から仕送りを受けたり、被相続人に婚姻のための費用を出してもらったり(贈与)、あるいは遺言によって、他の相続人とは別に財産をもらえることになっていたりする(遺贈)など、相続財産から、自分だけ特別の利益を受けている者(特別受益者)がいる場合があります。共同相続人のなかに特別受益者がいる場合に、その者が相続財産から受けた特別の利益を考慮せず、残った相続財産を法定相続分に従って分けるとすると、特別受益者は、特別の利益の分、本来の相続財産から多くの利益を得ることになり、他の共同相続人との関係で不公平な結果になってしまいます。そこで民法は、共同相続人のなかに特別受益者がいる場合は、その者に贈与された財産の価額(贈与の価額)を、計算上いったん相続財産に戻したものを相続財産とみなして各相続人の相続分を算定するものとしています。そして、そのようにして算定した額から遺贈または贈与の価額を差し引いた額が、特別受益者の相続分となります。遺贈または贈与の価額が、このように算定した相続分の価額に等しく、またはこれを超えるときは、特別受益者は、その相続分を受けることができません。

特別の寄与をした者がいる場合の相続分

相続財産から特別の利益を受けた特別受益者とは逆に、共同相続人のなかに、被相続人の事業を手伝うなどして、その財産の維持または増加について特別の寄与をした者がある場合があります。たとえば、被相続人である父が経営する商店を、相続人である子の1人が手伝っていた場合などです。この場合、相続財産の財産の維持・増加に寄与している相続人も寄与していない相続人も取り分が同じであるとすると、不公平です。そこで民法は、相続開始時の相続財産から、特別の寄与をした者の寄与分(共同相続人の協議で定める)を差し引いた額を相続財産とみなして、各相続人の相続分を算定するものとしています。そして、そのようにして算定された相続分に寄与分を加えた額が、特別の寄与をした者の相続分となります。

現実に分けるとき-遺産の分割

1.遺産の分割とは

遺産の分割とは、相続人が複数いる場合にその相続財産をどのように分けるかということであり、原則として相続人間の協議によりますが、相続人による協議が調わないとき、または協議をすることができない場合には、家庭裁判所の審判によります。

2.遺産の分割の基準

相続財産には不動産、株券、債権、ゴルフ会員権、現金、その他の動産など様々なものがありますので、法定相続分の割合が決まっていても、具体的に誰が不動産を取得するか、誰が現金を取得するか、というように、利害を調整する必要があります。したがって、遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況、その他一切の事情を考慮して行います。

3.相続分はいつから自分のもの?効力の発生時期

遺産の分割が決まると、遺産は、各相続人の固有の財産となります。いつから相続人の財産になるかというと、民法上は、相続開始の時にさかのぼって効力が生ずる、と定められています。つまり、被相続人が死亡した時から、分割された遺産は各相続人のものであったことになります。

ただし、この間に発生した第三者の権利を害することはできません。たとえば、共同相続人の1人がその持分を譲渡した場合は、その持分の範囲内で有効な処分であり、第三者は共有者となります。なお、すでに遺産分割が終了してしまった後に、認知によって相続人となった者(たとえば婚姻外で生まれた子が、親の死後に子として認知された場合など)は、他の共同相続人に対し、価額によってしか、相続人としての権利を主張することができません。つまり、遺産分割を最初からやり直すことは請求できません。

私の分を返して!相続回復請求権

相続回復請求権とは、死亡した人の財産が民法の定められたとおり相続人に受け継がれず、第三者に侵害された場合に、これを取り戻すことができる権利をいいます。

たとえば、第三者が真正の相続人でないのに相続人であると誤信して相続財産を占有している場合、あるいは共同相続人が自分の持分であると誤信して他の相続人の相続分を占有している場合などに、相続回復請求権を行使するわけです。もちろん、遺産分割によって法定相続分と異なる分割方法をする場合は、相続人全員の合意に基づくものですから、侵害されたということにはなりません。

相続回復請求権は裁判によって行使することもできますし、裁判外で行使することもできます。相続回復請求権は、相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないと、時効によって消滅します。また、相続開始の時から20年を経過したときも、この権利は消滅します。

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